知識効果(knowledge effect)
事実情報は依然として重要な役割を果たしている。知識は学習の土台だ。記憶も強力な学習ツールであることに変わりはなく、今持っている知識がえてしてその人の潜在的な学習能力を予測する最も確実な手がかりになる。これを私は「知識効果ナレッジ・エフェクト」と呼び、本書でたびたび取り上げる。専門知識を習得するには、まず基本を自分のものにしていなければならない。
しかし、事実情報を得ることは出発点にすぎない。学習に取り組む際には関係性を理解する、つまり原因と結果を見きわめ、類似性に気づくことも必要だ。とどのつまり、学習の目的はある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたってめざすのは思考の体系を学ぶことなのだ。
だからミクロ経済学を学ぶなら、ミクロ経済学の発想法を学びたい。編み物を学ぶなら、編み物の達人の発想ができるようになることをめざしたい。スキューバダイビングに行くのなら、一流のダイバーの判断力を身につけてみよう。教育心理学者が言うように、「学習とは『整理されたわかりやすい体系の大切な部分を理解すること』と考えよう」
この新しい学習アプローチが今後を大きく左右する。理由はまさにあなたのスマートフォンの中にある。近年の技術的進歩によって、手続き的知識ノウハウを必要とする職業は消滅したのだ。